「カーニバル」とは日本語では謝肉祭と訳されているが,もともとはキリスト教の中のカトリックなど西方教会系の地方で2〜3月頃,断食の前に1週間程度にわたり大騒ぎをする祭りのことを呼ぶようだ。大騒ぎの中身としては,さまざまな仮装をしたり,パレードをしたり,踊り狂ったり,菓子を投げたりすることなどがある。日本でも夏に浅草の「カーニバル」があるが,あれは本来の宗教的意味合いはなく,一種の仮装パレードをカーニバルと呼ぶことにしたものだ。
一般にはブラジル,リオ・デ・ジャネイロのカーニバル(リオのカーニバル)が有名だが,俗に世界3大カーニバルといわれるものがあるらしく,イタリア,ヴェニスのカーニバルもその一つとされている。

 ヴェニスのカーニバルは,中世時代には貴族がマスクを被って馬鹿騒ぎをしていたのが始まりとの話も聞くが,ヴェネツィアン・マスクが実に特徴的である。鼻筋が通り整った顔立ちであるが,どこかすましており,その表情からは何を思っているのかよく分からない。このヴェネツィアンマスクを顔に被り,マントをはおれば,外見からはいったい誰なのかほとんど分からなくなってしまう。
 
 カーニバル期間のヴェニスでは,サンマルコ広場を始め,街のいたるところにマスクを被った人々があふれ,異様ではあるが実に幻想的な雰囲気となる。確かにマスクを被り,マントをはおれば全く別人に早変わりできるのだから,日頃の自分をいっとき捨て去り,全く別の人物として馬鹿騒ぎをしたり,日頃の自分ではできないようなことをしたりしていた,というのもよく分かる。イタリア人はそれほど日頃からストレスに悩まされているとは思えないが,本来は,さまざまなストレスに悩まされがちな現代日本人にとって年に一回くらいは公認で別人としてすべてを忘れて振る舞えるような機会があってもいいかもしれない。

 ところで,このヴェネツィアンマスクであるが,やはり現代の世界の工場,中国製のマスクも結構売っているが,ヴェネツィア製との違いはその材質のようだ。中国製はプラスチック製のことが多いが,ヴェネツィア製はヴェネツィア紙の紙製のことが多い。値段はもちろんヴェネツイア製の方が高くなるが,実際に顔に被ってみると,プラスチック製は顔の形によってはマスクがうまく合わず若干痛いこともあるが,ヴェネツィア紙製ではうまく顔になじみ,長時間被っていても違和感は少ない。

 最近ある有名ブログに,今後中期的には日本円の為替レートがプラザ合意の前などのような円安になっていく可能性も十分あり,庶民でも気軽に海外に行けるのはあと10年くらいかもしれない,という話があった。そういえば,最近の大幅なウォン安の中,数年前より韓国人観光客をヨーロッパでみかける機会が少なくなったような気もする。円の価値もまだ円高には違いないが,いっときと比べれば対USドルでも75円くらいから80円くらいまで戻しているし,対ユーロでも一時は99円台になったものが108円くらいにまで戻している。ある程度の円安の方が国内輸出産業にとっていいのは言うまでもないが,日本円の海外での購買力という点では,円高の方がありがたい。そう考えれば,僕らのような庶民にとっては今はある意味でいい時代であり,この時代にできることはやっておいた方がよさそうだ。




























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